自宅で行う簡易検査も精密検査も機械をつけていつも通り寝ていただく検査です。
機械をつけるので、違和感を覚えることはあると思いますが、痛みは全くありませんのでご安心ください。
睡眠時無呼吸症候群は、大きないびきで呼吸が止まっていることが代表的な症状で、朝起きた時にすっきりしない感覚がすることもあります。
自分のいびきは寝ている時に聞くことができないので、指摘されることが多く、改善することが難しいのですが、睡眠時無呼吸症候群の場合にはそのまま放置すると、全身の疾患につながっていく可能性もあります。
自分の状態を把握して治療ができるように、睡眠時無呼吸症候群について正しく理解しましょう。
目次
睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている時に「無呼吸」の状態(10秒以上呼吸が止まること)が繰り返される病気のことです。
睡眠中に呼吸が止まって、大きないびきを繰り返します。
医学的には、7時間の睡眠で30回以上か1時間に5回以上の無呼吸状態が続くと「睡眠時無呼吸症候群」と診断されます。
成人男性の3~7%程度、成人女性で2~6%程度確認されており、めずらしくない病気ですが、睡眠時の無呼吸によって良質な睡眠がとれず、起きている時のさまざまな行動に影響を及ぼしてしまうことが問題になっています。
また、寝ている時に酸素不足になりやすいため、「脳卒中」「心筋梗塞」のリスクが高くなることも分かっています。
睡眠時無呼吸症候群は「いびき」とカンタンに考えられがちですが、全身に負担をかけて疾患を引き起こす可能性もあるため、早期に原因の改善や治療を開始することが大切です。
睡眠は活動した身体や脳を休めるために大切なものです。
しかし、その間に呼吸が繰り返し止まることで、身体の中の酸素量が減ってしまいます。
そうすると、身体の酸素不足を補おうと心拍数が上がります。
睡眠中は無意識なので、気づかずにいつの間にか身体や脳に負担がかかっているのです。
身体も脳もところどころで浅い睡眠になり、ゆっくり身体を休めることができません。
その結果、日中のだるさや注意力が散漫になって、日中の眠気や朝起きた時の頭痛を引き起こすこともあります。
さらに、成人の睡眠時無呼吸症候群では「心筋梗塞」「脳卒中」「高血圧」のリスクが3~4倍に上がってしまうことも確認されています。
寝ている間のことは自分で自覚することはなかなか難しいので、家族の人に確認してみましょう。
このタイプは、空気の通り道である上気道が狭くなって十分なスペースが取れず呼吸が止まってしまいます。
睡眠時無呼吸症候群の方の9割程度がこのタイプで、ほとんどの方が該当するといわれています。
上気道が狭くなるおもな理由として、肥満による首やのどの周りの脂肪が考えられます。
首周りの脂肪は寝る時に仰むけになると、重力の力で気道を圧迫してスペースが少なくなるためです。
そのほかにも、扁桃や舌が大きく顎が小さいと、寝た時に舌の根元が垂れ下がって上気道を狭くすることもあります。
睡眠時無呼吸症候群の原因は「肥満」が原因のことが多いですが、生まれつきの身体の特徴が理由で引き起こす可能性もあるのです。
中枢性睡眠時無呼吸症候群は脳からの呼吸指令が出ないことによる呼吸中枢の異常です。
このタイプは少なく、全体の数%です。
肺や末梢神経には異常がないのに、呼吸の指令がないため無呼吸になってしまいます。
閉塞性睡眠時無呼吸との違いは、気道は狭くなっていない点です。
閉塞性睡眠時無呼吸は一生懸命呼吸しようとしても、気道が狭くなって呼吸ができないのですが、中枢性睡眠時無呼吸症候群の場合には呼吸しようとする努力がありません。
このタイプの原因ははっきりと分からないことも多いのですが、心不全や腎不全を発症している場合や脳出血や脳梗塞の後遺症などが考えられます。
睡眠の呼吸や睡眠の質を確認する検査です。
自宅で簡易的に行う検査と入院して行う精密検査があり、まずは、簡易検査をして無呼吸状態を繰り返している時に精密検査を実地します。
自宅で気軽に呼吸やいびきをチェックすることができます。
自宅でも使用可能な機械で、いつもと同じように寝ている間に測定する機械です。
鼻の下や指にセンサーをつけて、無呼吸やいびきの状態から睡眠時無呼吸症候群のリスクを調べます。
主に気流やいびき音から呼吸状態と気道が狭くなっているか確認する検査と酸素飽和度(パルオキシメトリー)を調べる検査があります。
自宅でできる検査なので、普段通り日常生活を送ることができます。
簡易検査で脳波や睡眠の質を詳しく調べる必要がある場合には、入院して精密検査を受けます。
ただ、器具をつけて眠る検査のため、仕事終わりに入院して、朝出勤できるように配慮している病院も多いです。
精密検査では「脳波」「眼球運動」「下あごの動き」を測定し、「呼吸」「いびきの音」「血液中の酸素飽和濃度」「心電図」「睡眠時の姿勢や動き」を同時に検査することで睡眠時の呼吸の循環・睡眠の質・睡眠時異常行動を調べることができます。
これらの項目を調べるために、多くの機械をつけますが、いつも通り寝るだけで痛みを伴うことはありませんのでご安心ください。
入院から退院までの流れや入院時の注意点は病院によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
睡眠時無呼吸症候群は鼻やのど、舌の異常でも引き起こされるため、レントゲン検査やCT検査をして異常がないか検査する場合もあります。
欧米や国内で最も普及している治療法で、鼻に装着したマスクから送った空気の圧で呼吸の通り道を作る方法です。
患者様によって、適切な空気圧に調整することで、寝ている時に気道をふさがられることを防ぎ、呼吸をスムーズにすることが可能になります。
CPAP治療を受ける前に病院で精密検査を行い、鼻につけるマスクの空気圧の調整や正しいマスクのつけ方を確認します。
CPAP治療を行うことで寝ている時の無呼吸やいびきが軽減して、良質な睡眠を取れるようになるため、日中の眠気やだるさが改善していきます。
はじめはマスクをつけた時に違和感をある方もいますが、毎日使用しているうちに徐々に慣れていきます。
毎日使用するものなので、不安なことや疑問点があったらすぐに医師に相談しましょう。
歯科で作製するCPAP治療用のマウスピース治療を行うこともあります。
下のあごを上のあごより前に出すように固定することで、気道を広く保って無呼吸やいびきを防ぐ効果を期待します。
ホワイトニングや歯ぎしり防止のマウスピースとは形態が違うため、睡眠時無呼吸症候群の知識がある歯科医院で治療を受けましょう。
マウスピースを着けて寝るだけで良い一方、重症の睡眠時無呼吸症候群に方には効果が不十分という報告もあります。
自分の重症度を把握して、治療方法を医師としっかり相談しましょう。
精密検査をして医師が必要と判断した場合には、保険適応になります。
睡眠時無呼吸症候群の原因は扁桃肥大やアデノイドの場合に切除が有効な場合があります。
ただし、数年後に手術した後が傷口になって睡眠時無呼吸症候群が再発する可能性も。
また、米国では上気道を広げるために、あごを広げる手術も行われていますが、対応できる医療機関が少ないです。
首やのどの周りの余分な脂肪がつくと、上気道を塞ぐ原因になり、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まります。
また、あごが小さいとちょっとした体重の増加で気道が狭くなる可能性が高くなります。
そのため、体重増加を防ぐために、野菜中心の食生活を心がけ油物は控えるようにしましょう。
上気道は鼻・鼻腔・鼻咽頭・咽頭・喉頭のことを指します。
通常は鼻呼吸をすることが正しいのですが、口呼吸をすると咽頭が狭くなってしまうため、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高くなります。
そのほかに口呼吸は健康に大きな影響を及ぼします。
鼻で呼吸をするとウイルスなどをブロックするのですが、口呼吸の場合にはそのままウイルスを吸い込んでしまい、風邪やインフルエンザなどの感染症になりやすくなります。
また、細菌が繁殖しやすいため、むし歯や歯周病のリスクも高くなり、歯のかみ合わせが悪くなることもあります。
多くの睡眠薬は睡眠時無呼吸症候群を悪化させることがあります。
これは、睡眠薬で上気道の筋肉が緩んで塞がりやすくなってしまったり、無呼吸の時の低酸素時に呼吸回復が遅れたりするリスクがあることが分かっています。
どうしても必要な場合には睡眠時無呼吸症候群のことも含めて、医師と相談しましょう。
仰向けで寝るより、横向きに寝た方が、上気道の閉塞を防ぐ効果が期待できるといわれています。
抱き枕などを利用して横向きで寝る工夫をしましょう。
自宅で行う簡易検査も精密検査も機械をつけていつも通り寝ていただく検査です。
機械をつけるので、違和感を覚えることはあると思いますが、痛みは全くありませんのでご安心ください。
睡眠時無呼吸症候群になった原因にもよりますが、まずは生活習慣の改善(減量・禁酒)などからスタートします。
CPAP治療が選択されることが多いですが、症状が軽い場合にはマウスピース治療を行うこともあります。
簡易検査も精密検査も保険が適応になります。
また、マウスピース治療は精密検査をした上でマウスピース治療が必要と判断された場合に保険が適応になります。
睡眠時無呼吸症候群は自分では気づきにくい病気です。
たかがいびきと思わずに、睡眠時無呼吸症候群になることで脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが増えることもあるため早めに治療や生活習慣の改善をしましょう。
睡眠時無呼吸症候群の改善をサポートいたしますので、お困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。