下痢・便秘や下血などの自覚症状、生活習慣について、詳しくお伺いします。診察の結果、「大腸カメラ検査が必要」と判断された場合には、大腸カメラ検査の予約をお取りいただきます。
※血をサラサラにするお薬(抗凝固剤・抗血小板薬)など常服薬がある場合には、事前に医師までお申し出ください。
「大腸カメラ検査」とは「大腸内視鏡検査」のことを意味しています。大腸カメラ検査では先端にカメラの付いた細いファイバースコープと呼ばれる内視鏡を肛門から入れて、大腸全体(直腸・結腸・盲腸)の色調・凸凹(でこぼこ)具合などを体外から直接観察します。大腸カメラ検査は、日本人のがん罹患数1位(男女総数)・がん死因第2位(男女総数)・女性のがん死因第1位となっている「大腸がん」の早期発見に有効な上、ポリープなど異常所見があった場合には、そのまま生検(組織の一部を採取する検査)や切除を行うことが可能です。
当院では「つらくない内視鏡検査」を目指しており、鎮静剤を用いて「いつの間にか終わっていた」と思われるような大腸カメラ検査を行っています。便秘・下痢・腹痛といったお腹の不調が続いている方、人間ドックなどで便潜血陽性を指摘された方はお気軽にご相談ください。
こんな様子に心当たりはありませんか?もし、心当たりがある場合には、一度大腸カメラ検査を受けましょう。
大腸カメラ検査は通称であり、正式には「大腸内視鏡検査」あるいは「下部消化管内視鏡検査」と呼びます。下部消化器官とは、小腸・大腸(結腸・盲腸・直腸)のことで、体外からは形状や色合いなどを確認できません。そのため、下部消化管の異常が疑われる場合には、体内に内視鏡を挿入して詳しく観察する「大腸カメラ検査」を実施します。
大腸カメラ検査では、小腸・大腸に関する病気を確認できます。
大腸にできる“がん”の総称で、40代から少しずつ罹患率が増加し始めます。できる場所によって盲腸がん・上行結腸がん・S状結腸がん・直腸がんなどに分けられ、日本人ではS状結腸がん・直腸がんの罹患が多くなっています。また、がんの進行具合によって、がんが大腸粘膜で留まっている「早期大腸がん」、大腸の筋肉まで達して周りの臓器・リンパ節などに転移する確率が高くなる「進行大腸がん」と分類されることもあります。大腸がんは「腺腫(良性ポリープ)のがん化したもの」「正常な粘膜から突然発生するもの」の2パターンがあります。発症の危険因子として、高脂肪・高たんぱく食の増加などによる「食生活の欧米化」がありますが、遺伝素因も複雑に絡んでいると考えられています。初期では無症状ですが、進行すると血便・腹痛・お腹の張り(腹部膨満感)・下痢・便秘などがみられます。大腸がんは、早期発見すれば内視鏡的切除治療が可能であり、治癒が望める病気です。
大腸にできる良性ポリープ(できもの)です。自覚症状はありませんが、食生活の欧米化に伴い、近年、大腸ポリープができている人が増えています。腺腫は放置していると大きくなり、自然に消滅することはありません。大きく成長するにしたがって、がん化する可能性が高くなるため、大腸ポリープの段階で切除することは「大腸がん予防」に繋がります。
便秘による腸の内圧上昇や加齢の影響などが原因となり、大腸の壁の一部が外側に向かって小さな袋状に突き出る(憩室)病気です。日本人の約20%が保有しているとされ、高齢になるほど上昇します。大腸憩室ができただけでは無症状ですが、炎症を起こすと腹痛が現れる「大腸憩室炎」を合併することがあります。また、憩室から出血して下血する(げけつ:黒っぽいタール便が出る)と「大腸憩室出血」を合併することがあります。
大腸粘膜が炎症により深く傷つき、潰瘍(かいよう:えぐれる)となることで、血便・下痢・腹痛が起こる慢性疾患です。症状が現れる「活動期」と症状が落ち着く「寛解期」を繰り返す特徴があります。また、患者数は年々増加傾向であり、若者から高齢者まで幅広い年齢層で発症します。今のところ、原因不明であり、国による「指定難病」に定められています。潰瘍性大腸炎を放置すると大腸の炎症が長期間続くため、大腸がんの発症リスクが高まります。
◆潰瘍性大腸炎について、「潰瘍性大腸炎ページ」にて詳しく説明しています。
直腸に潰瘍ができる病気で、脳血管障害・心疾患・糖尿病などの基礎疾患がある高齢者、特に寝たきり状態の方に発症しやすいです。通常、自覚症状はなく、突然、無痛性の大量の下血(血便)を起こすことがあります。大量出血の場合には、すぐに止血治療が必要となります。
当院の大腸カメラ検査は、火曜日・木曜日・土曜日に予約制にて行っています。大腸カメラ検査の前に、一度外来診察を受けていただき、腹部の診察や大腸カメラ検査についての説明を受けた後、検査予約をお取りください。当院で行う大腸カメラ検査には、次のような特徴があります。
当院には、内視鏡専門医や消化器病専門医が複数在籍しています。診察~検査~検査後の説明~フォローまで責任を持って実施しています。また、検査後は大腸カメラ中に撮影した画像を用いて、診察室で患者さんと一緒に画像を見ながら、分かりやすく丁寧な説明を心がけています。
大腸カメラと言うと、お尻から内視鏡を入れるので、「つらそう」「苦しそう」とイメージされる方も多いことでしょう。当院では、少しウトウトするような軽い鎮静剤(麻酔)を使用することで、「苦しさ」「痛み」を感じずに「いつの間にか終わっていた」と思われるような大腸カメラ検査を目指しています。
一般的に大腸カメラ検査では、ヒダに隠れた小さな病変を見つけやすくするため、空気を送って大腸を広げながら観察します。しかし、「空気送気」では、検査後も腸内に気体が残りやすくなるため、お腹の張り(腹部膨満感)・痛みが数日続くことがあります。
一方、当院の大腸カメラでは、「炭酸ガス(二酸化炭素)」にて送気しています。欧米では1980年代頃から使用されており、安全性・有用性が認められています。空気送気と比べ、炭酸ガスは体内への吸収が約200倍早いとされているため、お腹の張り・痛みなどの不快感はほとんどありません。
当院の大腸カメラには、青・緑などの短い波長の光を照射する「NBI(狭帯域光観察)システム*1」が導入されています。短波長の光により、消化器の粘膜表層の血管を浮かび上がらせるので、血管構造をより鮮明に観察でき、通常光では分かりづらい非常に早期の「大腸がん」が発見しやすくなります。
*1(参考)光デジタルによる画像強調観察技術「NBI (狭帯域光観察)」|オリンパス(株)
https://www.onaka-kenko.com/endoscope-closeup/endoscope-technology/et_10.html
当院では、大腸カメラの検査時にポリープが見つかった場合、同時に「ポリープ切除」を行っています。入院が必要となる大きなポリープ以外は発見したその場で切除するため、入院による社会的な負担・金銭的負担が軽減できます。
※入院でのポリープ切除が必要な場合には、さいたま赤十字病院などの基幹病院をご紹介します。
当院の内視鏡器具の洗浄・消毒は、学会のガイドライン*2で推奨されている高水準消毒薬である過酢酸(≒酢)を使用した洗浄消毒装置にて行っています。また、取扱いに関しても専門のスタッフが管理しています。安全で清潔な内視鏡器具で、患者さんが安心して大腸カメラ検査をお受けいただけるよう感染予防に努めています。
*2(参考)消化器内視鏡の感染制御に関するマルチソサエティ実践ガイド|日本環境感染学会・日本消化器内視鏡技師会
http://www.kankyokansen.org/modules/publication/index.php?content_id=14
下痢・便秘や下血などの自覚症状、生活習慣について、詳しくお伺いします。診察の結果、「大腸カメラ検査が必要」と判断された場合には、大腸カメラ検査の予約をお取りいただきます。
※血をサラサラにするお薬(抗凝固剤・抗血小板薬)など常服薬がある場合には、事前に医師までお申し出ください。
大腸カメラ検査では、消化が良く腸内に残りにくい食事を摂っていただくために、検査前日の食事制限があります。消化されない食べ物が残っていると観察不良となり、検査中断となることがあります。主な注意事項は、以下の通りです。
通常量を食べて問題ありません。ただし、便秘がちの方、前回の大腸カメラ検査で野菜などが残っていた方は、3日前から食事内容に注意しましょう。
白米、素うどん、フランスパン・食パン・ロールパン(くるみ・ナッツなど入っていない)、鳥もも肉・むね肉(皮なし)、鳥ささみ、ハム、豚もも肉、牛ヒレ肉、かまぼこ、タイ、ヒラメ、タラなどの白身魚、鮭、ちくわ、かまぼこ、豆腐、豆乳、卵、じゃがいも、バナナなど
※なお、当院では大腸カメラ検査前日のお食事にオススメの「検査食セット」は販売しておりません。ただし、当院の門前薬局にて取り扱っている場合があります。
ラーメン、そば、パスタ、春雨、ハンバーガー、あんぱん、クロワッサン、ベーコン、ソーセージ、豚バラ肉、ロース肉、アジ、サバ、ウナギ、まぐろのトロ、干物、イカ、エビ、ネギなどの薬味、キノコ全般、納豆など豆類、海藻類、こんにゃく、ゴマ、玄米、雑穀米、全粒粉、ライ麦パン、野菜ジュース、牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品、コーンフレークなど
当日朝ご自宅では、食事やコーヒー・ジュースなどを飲まないでください。(お水・お茶のみOK)
大腸カメラ検査の予約時間に合わせて、洗腸剤の内服開始時間をお伝えしています。
決められた時間になりましたら、内服を始めてください。数回に分けて、合計で約2リットル飲みます。何度かトイレに行くと、液体のような便に変わっていきます。一般的に洗浄剤の内服を始めて2~3時間で便がすべて排出され、お通じが透明になってきたら、腸内がきれいな状態になった目安です。また、洗浄剤を飲んでいる間に、吐き気・腹痛が起こる、便の色が濃く、排便の回数が少ないなど、気になることがありましたら、すみやかにクリニックまでご連絡ください。
※常服薬については、医師の指示通りに服用してください。
ご予約時間にご来院ください。検査着にお着替えいただきます。なお、検査用ハーフパンツは穴が開いている方を後ろにして履いてください。
※鎮静剤をご希望の方は、ご家族の送迎または公共交通機関でお越しください。(車・バイク・自転車をご自身で運転しての来院はできません)
※ご高齢の方は、ご家族同伴で来院されることをおすすめします。
内視鏡検査室に移動します。検査室では、検査台に仰向けになって寝ていただきます。
本人確認や血圧測定後、ご希望者には、鎮静剤・鎮痛剤を注射します。(少しずつウトウトしてきます)その後、左向きになっていただき、膝を軽く曲げた姿勢になります。
内視鏡を肛門から挿入しますので、力を抜いてラクにしてください。医師はモニターに映る腸内の状態などを隅々まで観察します。(挿入~観察までの検査時間:約15分~20分)
※必要に応じて、組織採取・ポリープ切除を行います。観察のみの場合と比べて、検査時間は長くなります。
大腸カメラ検査が終わりましたら、スタッフがお声がけをします。「痛みなく、いつの間にか終了していた」と感じられる方がほとんどです。リクライニングチェアでしばらくお休みいただいた後、お着替えとなります。
※鎮静剤を使用した場合には、1時間程度お休みいただきます。
また、ご気分が悪いなど体調に変化があるときには、すぐに医師・スタッフにお申し出ください。
当日中に大腸カメラ検査の結果を医師からご説明します。当院では撮影した画面を見ながら、大腸内の病変の有無、病変切除の実施有無、「生活習慣で気を付けたいこと」なども含め、詳しくお話ししています。
なお、組織検査(生検)を行った場合には、検査結果が出るまで約1週間かかるため、後日再度ご来院ください。
ご精算後、ご帰宅となります。鎮痛剤・鎮静剤を使用する場合は、車・バイク・自転車などの運転はできませんので、ご注意ください。
「大腸カメラ検査はつらそうな検査」と思われている方や、以前検査をしたときに苦しい思いをされて「もう受けたくない」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、大腸は他の検査では詳しく調べることが難しい部位であり、大腸カメラ検査でのみ発見できる病気が多数存在しています。特に、大腸がんは進行するまで症状が出にくく、罹患者数は増加傾向にあります。近年では日本人のがん死因のトップ3に入り、女性では胃がんを抜いて第一位となっていますが、早期発見であれば内視鏡で切除することが可能です。
当院では鎮静剤や炭酸ガス送気を用いて、できる限り患者さんの苦痛軽減を目指した「大腸カメラ検査」を行っています。お腹の不調でお悩みの方、人間ドックなどで便潜血陽性を指摘された方は、お気軽にご相談ください。