胆管結石の多くは、胆のうから胆管に落ちてきた結石(胆のう結石)です。
胆のう結石は「コレステロール胆石」とも呼ばれており、高脂質食の過剰摂取が主な原因とされています。
また、胆石は男性と比べて、女性の発症が約2~3倍多く、特に次のような「5つのF」を持つ方に発生しやすい傾向があるとされています。
ほかにも、糖尿病・脂質異常症などの基礎疾患がある方、ストレス・睡眠不足の方、血縁に胆石症患者さんがいる方、過剰なダイエットをした方も、胆石ができやすいとされるため要注意です。
胆管結石は胆石(たんせき)のひとつで、肝臓から十二指腸まで繋がる「胆管」にできた結石です。胆管結石ができると、食後2時間くらいまでに「上腹部痛(胆道疝痛:たんどうせんつう)」「吐き気」「嘔吐」といった症状が現れます。感染が起こると「発熱」や白目・皮膚が黄色くなる「黄疸(おうだん)」も現れます。ただし、高齢者では症状が出にくく、急に意識障害を起こすようなケースもあります。
胆管結石は胆のう結石と比べて重症化しやすく、敗血症・重症すい炎といった重篤な合併症を引き起こすことから、診断された場合にはすみやかな治療が望まれます。
食後に上腹部の痛み・吐き気・嘔吐などの症状がみられる方は、一度お気軽にご来院ください。
胆管とは肝臓と十二指腸を繋いでいる管のことで、長さは約10cm~15cm、太さは約0.5cm~1cmです。胆管の中には「胆汁(たんじゅう)」が通っています。
胆汁は食事で摂取した脂肪分やビタミンの消化吸収を助ける消化液で、肝臓から分泌され、胆管・胆のう・十二指腸乳頭部(総胆管の出口部分)を流れて十二指腸に入ります。
この胆汁の通り道(胆道)にできる結石を「胆石(たんせき)」と呼び、厳密には3つの種類に分けられます。そのひとつが「胆管結石」で、胆管にできた結石です。ほかに、胆のう内にできる結石「胆のう結石」、肝臓内にできる結石「肝内結石」があります。発症頻度は、胆のう結石が約8割、胆管結石は約2割、肝内結石は約2%となっています。
胆管結石を含む胆石とは、胆汁に溶けているコレステロール・ビリルビン*1などが結晶化した物です。
*1ビリルビン:血液中の赤血球が役目を終えた後に作られる黄色い色素。「胆汁色素」とも呼ばれ、増加すると黄疸が現れる。
また、胆管結石は結石の成り立ちによって、発生要因が異なります。
症状が現れないこともある「胆のう結石」とは異なり、胆管結石ではほとんどのケースで、次のような症状(胆石発作)が現れます。
なお、これらの症状は主に食後30分~2時間くらいの間にみられます。
ただし、高齢者では症状が現れにくく、急に意識障害を起こすことがあるので、要注意です。
また、胆道で詰まり感染を起こすと、次のような症状が現れます。
胆管結石を含む「胆石」の疑いがある場合には、次のような検査を行います。
胆管結石の検査
胆管結石の診断
血液検査・画像検査などから他の病気が確認できず、画像検査により「胆管結石の存在」を確認できた場合には、「胆管結石」と診断します。
狭い胆管に胆管結石が詰まると、胆汁の流れが悪くなってすぐに黄疸が現れ、胆管炎に繋がる可能性が高くなります。さらに胆管炎が重症化すると、命の危険がある合併症に直結するため、症状のあるなしに関わらず、胆管結石はすみやかな治療が望まれます。
胆管結石の治療では、お腹を切らずに行える「内視鏡的治療」が第一選択となります。
通常、1週間程度入院して行われます。
※胆管結石に対する内視鏡的治療や、胆のう結石に対する外科的治療が必要な場合には、さいたま赤十字病院など基幹病院をご紹介します。
ほかに、結石が1cm以上と大きい場合には、結石を砕いて破砕片を取り出したり、経口胆道鏡下でのレーザー結石除去を行ったりしますが、内視鏡的治療ができない胆管結石では、外科的手術による治療を行います。
また、胆のう結石を合併している場合には、内視鏡的胆管結石除去術後に腹腔鏡下胆のう摘出術(外科的治療)を行います。
胆管結石の多くは、胆のうから胆管に落ちてきた結石(胆のう結石)です。
胆のう結石は「コレステロール胆石」とも呼ばれており、高脂質食の過剰摂取が主な原因とされています。
また、胆石は男性と比べて、女性の発症が約2~3倍多く、特に次のような「5つのF」を持つ方に発生しやすい傾向があるとされています。
ほかにも、糖尿病・脂質異常症などの基礎疾患がある方、ストレス・睡眠不足の方、血縁に胆石症患者さんがいる方、過剰なダイエットをした方も、胆石ができやすいとされるため要注意です。
次のようなポイントに注意すると良いでしょう。
血中コレステロールや中性脂肪が高くなると、胆石ができやすくなります。適度な運動を行って適正体重を心がけることで、脂質異常や生活習慣病を予防し、胆石の発症リスクが抑えられます。
特に40代~50代の女性では、女性ホルモンの低下に伴い、血中コレステロールが増加しやすい傾向があります。ウォーキングなど軽い運動で良いので積極的に行って、肥満予防に努めましょう。
高脂質や高コレステロールな食事は胆石を発生させる原因となります。さらに、食事間隔を開け過ぎたり、逆に暴飲暴食や過度なアルコール摂取を行ったりすることも、胆石発生リスクを高めます。1日3食、栄養バランスの良い食事を摂るよう努めましょう。また、脱水も胆石発生リスクが増加するため、こまめな水分補給が大切です。
なお、胆石がある方は、脂っこい食事やアルコール摂取をすることでコレステロールが増加して胆石発作を誘発することがあります。
「胆管結石」は、胆石のうち20%程度です。食後の上腹部の痛み・不快感などの症状(胆石発作・疝痛発作)が現れることが多いのですが、高齢者では症状が現れないまま急に意識障害に陥るケースもよくあるので、注意が必要です。
胆管という狭い場所にできるため、胆汁の流れが悪くなりやすく、重症化する傾向があります。敗血症・重症すい炎といった命の危険がある合併症に直結する恐れがあるため、迅速に治療することが重要です。
食後の上腹部の痛み・黄疸・発熱などを認める方は、すみやかにご受診ください。