胃腸炎の症状には軽症~重症まで個人差がありますが、安静にして十分な水分補給を行っていれば、1週間程度で自然に回復していきます。
しかし、症状が改善していかず、症状が続いたり症状が強くなったりする場合、水分がほとんど取れないときには、病院での治療が必要です。特に、子どもや高齢者の方、免疫力が低下している方では、体力を消費して重症化しやすいので早めの受診をおすすめします。
なお、激しい腹痛、血便、意識障害などがみられるときには、夜間・休日問わず、救急外来を受診してください。
胃腸炎とは、その名の通り、胃・小腸・大腸の粘膜に炎症が生じて、主に下痢・吐き気・嘔吐・腹痛などの消化器症状が現れる疾患の総称です。
胃腸炎の中でも、ウイルスや細菌が原因となる「感染性胃腸炎」が有名ですが、ほかにも食べ過ぎ・ストレス・薬の影響・アレルギーなど、さまざまな原因によって引き起こされます。
胃腸炎治療の基本は「安静と十分な水分補給」となりますが、必要に応じて、整腸剤や抗菌剤などのお薬を使い、症状を和らげる「対症療法」を行います。
胃腸炎は、胃や腸(小腸・大腸)の粘膜に生じた炎症によって、消化器症状が現れる病気です。
原因によって多少の違いはみられますが、主に下痢、吐き気、嘔吐、腹痛などの消化器症状がみられます。発熱・体の倦怠感(だるい感じ)などの全身症状を伴ったり、感染しても症状が現れなかったりするときもあり、症状の程度には個人差があります。
胃腸炎は、次のような様々な原因によって引き起こされます。
原因となる病原体に感染すると、数時間~数日間の潜伏期間(病原体によって異なる)を経て、急に嘔吐・下痢などの症状が現れます(急性胃腸炎)。
感染経路は、病原体に汚染された食べ物・水を摂取する「経口感染」、汚物に排出された病原体に手指を介して病原体が口に入る「糞口感染」、感染者の唾液・分泌物を吸い込む「飛沫感染」、病原体が付着した物を触る「接触感染」が中心となります。
原因となる薬や食べ物の摂取をやめることで、胃腸炎は回復に向かいます。ただし、自己判断でお薬を止めることは大変危険です。必ず、かかりつけ医にご相談ください。
ウイルス性胃腸炎は、別名「お腹の風邪」「嘔吐下痢症」とも呼ばれ、感染性胃腸炎のほとんどを占めます。
ロタウイルス:2~3日
ノロウイルス: 1~2日
非常に強い (症状が出ている急性期が一番感染力大)
一年中みられるが、特に冬~春が多い
主に「食中毒」とも呼ばれ、高温多湿となる7月~10月頃に多く発生します。
カンピロバクター:1~10日
サルモネラ菌:12~48時間
病原性大腸菌:3~8日
腸炎ビブリオ:12時間程度
黄色ブドウ球菌:30分~6時間
ふつう (ただし、病原性大腸菌は少量で感染が成立する)
高温多湿を好む細菌が増殖しやすい「夏」が多い
胃腸炎では引き起こす原因が幅広く存在するため、問診が重要となります。
直近に食べたもの、ご家族・職場など周囲の感染状況、海外渡航歴、服薬の有無など詳しくお伺いして、原因の推定を行い、総合的に判断します。
また、必要に応じて、次のような検査を行います。
ただし、症状や問診などから「感染性胃腸炎」と診断できる場合には、特に検査を行わずに治療を開始することがあります。病原体が特定されなくても、治療方法や感染対策に大きな違いはないので、心配ありません。
感染性胃腸炎の治療では、感染者さんの自己免疫力でウイルスや細菌を排出して、自然に回復していくのを待つことが基本となります。
脱水を防ぐための十分な水分補給や安静を行いながら、症状に応じた整腸剤、吐き止めなどのお薬による「対症療法」を基本とします。なお、下痢止めは、ウイルスや細菌の排出を滞らせ、病気の回復を妨げる可能性があるため、通常使用しません。
また、子ども・高齢者の方、免疫力が低下している方では、下痢や嘔吐症状が強く出ることで少しの水分も受け付けなくなり、脱水症状になりやすい傾向があります。病院での点滴処置が必要ですので、ご来院ください。
感染性胃腸炎を予防するためには、次のようなポイントに注意しましょう。
胃腸炎の症状には軽症~重症まで個人差がありますが、安静にして十分な水分補給を行っていれば、1週間程度で自然に回復していきます。
しかし、症状が改善していかず、症状が続いたり症状が強くなったりする場合、水分がほとんど取れないときには、病院での治療が必要です。特に、子どもや高齢者の方、免疫力が低下している方では、体力を消費して重症化しやすいので早めの受診をおすすめします。
なお、激しい腹痛、血便、意識障害などがみられるときには、夜間・休日問わず、救急外来を受診してください。
嘔吐したときは腸の働きも弱くなっているので、1~2時間胃腸を休めます。
また、嘔吐や下痢があるときは脱水予防が重要なので、まずは「水分補給」を行います。
ポイントは小まめに少量ずつ飲むことです。
水分補給が問題なくできるようになれば、柔らかいうどん・おかゆ・野菜スープ・リンゴのすりおろしなど消化に良いものから少しずつ食事を摂りましょう。
胃腸炎の原因には様々ありますが、ほとんどはウイルスや細菌による「感染性胃腸炎」です。感染性胃腸炎は感染症として人を介してうつるほか、食中毒の側面もあります。秋~冬にかけてはウイルス性、夏は細菌性(食中毒)に注意して、手洗い・消毒などの基本的な感染対策を行い、発症予防および二次感染の予防に努めましょう。
また、胃腸炎では「十分な水分補給」がとても大切です。通常、発症から3~4日を症状のピークとして自然に回復していきますが、症状が続く場合や子ども・高齢者・免疫が低下している方では適切な治療が必要となりますので、早めにご来院ください。