はい、一度ご受診ください。肝嚢胞や肝血管腫は、どちらも基本的には良性疾患です。
しかし、肝嚢胞には稀に大きくなるものや悪性変化するものがあり、肝血管腫では腫瘍が肝血管腫か悪性腫瘍かどうかを鑑別しないといけません。そのため、画像検査で定期的に大きさや悪性変化していないかをチェックしていく必要があります。
お気軽にご相談ください。
肝障害とは、肝機能に異常が起こることです。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、初期ではほとんど症状が現れず、健康診断・人間ドックで異常を指摘されて病気に気づくことが多くあります。肝臓の炎症が進行すると、全身倦怠感・黄疸(おうだん:皮膚や白目が黄色くなること)・かゆみ・むくみなどが現れるようになります。
主な原因はウイルス感染・薬剤・過剰なアルコール摂取・免疫の異常・肥満・過労などです。どんな原因でも肝障害が続けば、最終的には肝硬変・肝不全に進行して、肝臓が正常に機能しなくなる可能性があるので、症状のない早い段階から、きちんと治療を開始して進行を抑えることが大切です。
健康診断で肝機能の数値に異常を指摘されたら、一度お気軽にご来院ください。
肝臓はお腹の右上にあります。全体重の約2%を占め、体の中で一番重い臓器です。肝臓は再生力や予備能力が高く、健康な肝臓なら一部を切除して1/3くらいの大きさになっても生命に問題はないため、生体間での移植(生体肝移植)などの治療が可能です。
肝臓は生命活動に欠かせない重要な3つの働きを担っています。
(図)肝臓の位置
肝障害(肝機能障害)には、「急性肝機能障害」と「慢性肝機能障害」があります。
肝障害が慢性化すると、次第に繊維組織(コラーゲン)が増加して硬くなる「肝硬変」に進行する可能性があります。肝硬変へ進むスピードは病態によって異なりますが、一度「肝硬変」になると、元の組織状態には戻れず、肝臓機能が果たせなくなって「肝不全」になったり、「肝がん」を発症したりするケースもあります。近年ではお酒をあまり飲んでいないのに肝臓に障害が起こる「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:ナッフルディ)」が急増しています。
肝臓の機能障害が起こっても、初期段階では「無症状」です。
障害がある程度進行すると、全身の倦怠感・食欲低下・吐き気・黄疸・皮膚のかゆみ・むくみ・腹水などが現れます。症状がないうちから健康診断などで定期的に観察して、異常が発覚した際には、すみやかに適切な治療・経過観察をすることが重要です。
肝障害の主な原因には、次のようなものがあります。
肝炎を引き起こす主なウイルスにはA型・B型C型・E型がありますが、日本人ではB型肝炎ウイルス(HBV)・C型肝炎ウイルス(HCV)が圧倒的に多いです。
肝臓に中性脂肪が多く貯蓄した状態となる疾患です。脂肪肝は「アルコール性」と、アルコールとは関係ない「非アルコール性」に分けられます。
(図)脂肪肝の分類イメージ
薬の副作用として肝臓に障害が起こります。抗生物質・解熱鎮痛剤・抗真菌薬・精神神経系薬・抗がん剤・抗甲状腺薬のほか、漢方薬・総合感冒薬・サプリメント・健康食品など市販薬で起こることもあります。さらに単独服用では肝障害を起こさなくても、複数のお薬を一緒に服用することで肝障害が出る場合があります。原因物質の量によって起こる「中毒性」とアレルギーのように量に関係なく発症する「特異体質性」があります。
50代~60代の中年以降の女性に多くみられる、自己免疫の異常による肝障害です。全国調査では、15年前と比べて患者数が約3倍に増加していました。今のところ原因は不明で、国による「指定難病」を受けていますが、これまでの研究でウイルス感染・薬剤服用・妊娠出産が発症に関与している可能性があると報告されています。
原因不明の肝障害の場合、甲状腺機能亢進症/バセドウ病・甲状腺機能低下症などの甲状腺疾患が原因となっている可能性があります。甲状腺ホルモンの代謝異常や抗甲状腺薬の副作用(内服開始から2~3週目に起こりやすい)によって肝障害が引き起こされるほか、抗甲状腺薬での治療による甲状腺ホルモンの低下に伴って一過性の肝障害も現れることがあります。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病ではAST(GOT:肝臓にある酵素で肝細胞の障害により上昇)・ALP(胆汁うっ滞性肝疾患の指標)・ALT(GPT:肝臓病や胆道の病気)が高値になり、一方、甲状腺機能低下症ではAST・ALT・LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高値になります。
肝障害は、血液検査・超音波検査などから肝臓の状態を把握した上で、総合的に診断します。
ほかに、血液検査やエコー検査により肝臓・胆のうなどの病気が疑われる場合には精密検査として「腹部MRI検査(MRCP検査)」、肝臓の一部の組織を採取して顕微鏡で調べる「肝生検」を行うことがあります。
※必要に応じて、さいたま赤十字病院など基幹病院をご紹介します。
治療法は原因によって異なりますが、肝障害の治療で重要なのは「肝硬変に進行させないこと」です。
抗ウイルス薬による薬物療法を基本に、必要に応じて、肝炎の進行を防止する「肝庇護療法(かんひごりょうほう)」を行うことがあります。
「生活習慣の見直し」により、肝機能障害の進行を防いで治癒も期待できます。
通常、原因となっているお薬を止めれば速やかに回復していきます。薬物療法で肝臓を保護する治療を行うことがあります。なお、原因となっているお薬の中には、甲状腺疾患など他の病気の治療上必要な薬があるため、急に中止することは危険です。他疾患のかかりつけ医とのご相談が必要となる場合があります。また、飲酒をすると症状が悪化するので禁酒しましょう。
免疫抑制剤として副腎皮質ステロイド薬の内服を行います。服用により肝機能は改善しますが、完全に中止すると再燃してしまうので、維持量を長期間内服します(維持療法)。ステロイド内服薬の副作用として、特に中年女性では骨粗しょう症の発症リスクが高いため、定期的に骨密度チェックを行い、骨密度の低下がみられたら改善薬が必要となります。
はい、一度ご受診ください。肝嚢胞や肝血管腫は、どちらも基本的には良性疾患です。
しかし、肝嚢胞には稀に大きくなるものや悪性変化するものがあり、肝血管腫では腫瘍が肝血管腫か悪性腫瘍かどうかを鑑別しないといけません。そのため、画像検査で定期的に大きさや悪性変化していないかをチェックしていく必要があります。
お気軽にご相談ください。
肝障害の原因は様々なので、完全に予防する方法はありませんが、生活習慣を見直して少しでも気を付けることにより、脂肪肝などを予防することが可能です。
今や肝障害は「国民病」のひとつとされていますが、初期では自覚症状がないため、健康診断などで異常を指摘されても放置してしまう方が多いです。肝障害が慢性化して肝硬変まで進行すると、元の状態には戻れません。だからこそ、その前に生活習慣の見直しやお薬で肝機能を改善させることが大切です。当院では「脂肪肝外来」を設けて、薬物療法だけでなく、食事・運動療法のフォローもしっかりさせていただいております。肝機能の異常を指摘された方、一度お気軽に当院までご相談ください。